
記事のポイント
- 「200海里」とは?その正確な意味
- 排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economy Zone)の概要
- 領海・接続水域・公海との違い
- EEZ認証誕生の背景と国際条約
- 広大な日本のEEZと沖ノ鳥島の戦略的意味
- EEZを巡る国際問題と未来
「200海里」とは?その正確な意味
200海里(かいり)は、370.4kmです。
200海里は、国際条約(1982年国連海洋法条約=UNCLOS)で
沿岸国の「排他的経済水域」(EEZ)の範囲として規定されている距離です。

1海里の定義
- 1海里=1,852メートル
- 地球の子午線(経線)の緯度1分(1度の1/60)に相当
- 海上距離計算、航海実務、海図や国際法で基準となる単位
200海里の計算式
- 1,852m × 200 = 370,400m(=370.4km)
- 陸地で言えば、東京から名古屋を超える距離
排他的経済水域(EEZ:Exclusive Economy Zone)の概要
EEZとは、「沿岸から200海里までの範囲で、
漁業・鉱物資源・エネルギー開発等に沿岸国が独占的経済権を有する海域」です。
- 独占主権ではなく、経済的な独占権を持つ範囲
- 他国は航行や飛行、船舶の通過が自由だが、資源採取は原則禁止(許可制)
用語解説:
- 資源の独占利用権
近海での漁獲、油田・ガス田開発、メタンハイドレート・レアメタル探索など - 監督・義務
生態系保護や地球環境規制も国際的な義務
領海・接続水域・公海との違い
区別 | 海岸線からの幅 | 主な権利 | 他国船舶通航 |
---|---|---|---|
領海 | 12海里(約22.2km) | 沿岸国の完全な主権 | 無害通航権のみ |
接続水域 | 領海の外側12海里 | 取り締まり権限(公安・密輸など) | 基本通航自由 |
排他的経済水域 | 200海里(約370km) | 水産・鉱物等あらゆる経済的独占権 | 航空機の利用は原則自由 |
公海 | EEZの外側 | 特定権なし(国際社会共有) | 完全自由 |
よく出てくる用語解説
- 無害通航権:外国船は、沿岸国を無視しない限り領海を通過できる権利
- 公海自由の原則:EEZや領海の外側は全ての国が自由に使える
EEZ認証誕生の背景と国際条約
背景
1970年代、沿岸国による海洋資源の管理強化や、公海での乱獲抑制の必要性から、
「200海里制度」の導入を求める声が世界で強くなりました。
- 国連海洋法条約(UNCLOS、1982年採択)で明確に規定
- これにより、各国のEEZが公式に認められ、違反行為は「拿捕」や「罰則」の対象に
条約発効と日本の対応
- 日本も1996年に同条約を批准し、自国のEEZを正式に設定。
- 資源管理(漁業権、鉱物、エネルギー)
- 環境保全(海洋汚染防止、外来種規制)
広大な日本のEEZと沖ノ鳥島の戦略的意味
- 日本のEEZ:約447万平方km(世界第6位)
- 日本列島の周囲だけでなく、南端の沖ノ鳥島、小笠原諸島の周辺も含む
- 沖ノ鳥島の重要性:この小島が“島”とみなされることでEEZが数十万㎢広がる
- 沖ノ鳥島は波で浸食され消滅しかかったため、公共事業で強固に保護
- もし消滅すれば、沖ノ鳥島を基点としたEEZ(=日本の「宝の海」)が大幅に縮小する。
今年のEEZを巡る国際問題と未来
EEZ内資源をめぐる争い
- メタンハイドレート:次世代エネルギー資源。日本は採掘技術を開発中
- レアメタル・レアアース泥:ハイテク産業の根幹素材。中国依存を減らす戦略上重要
EEZ侵犯・領海侵犯
- 今年、漁業・密輸目的の外国船舶による侵犯事件が相次ぐ
- 沿岸警備体制の強化、拿捕の迅速化
- 領有権問題や、資源の対立主張による国際紛争も存在する
6. EEZとあなたの暮らし:意識すべきポイント
- スーパーで並ぶ魚の多くは日本のEEZ内漁場から
- 資源管理失敗は価格高騰・供給不安定につながる
- 漁業・エネルギーだけでなく、海洋環境問題やプラスチック汚染も私たちの生活と直結
- 日常のニュースで「EEZ」「領海」「公海」などの用語が出れば、意味を具体的に考えてみる
まとめ【よくあるQ&A形式解説】
Q.「200海里と12海里」の違いは?
- 12海里は「完全な国内管轄権」(法律・警察権も100%)、200海里は「経済権のみ」(航行や飛行は自由)
Q. EEZで無許可で漁獲したらどうなる?
- 沿岸国の拿捕、罰金、漁獲物や船舶没収のリスクあり
- 実際に日本の周辺でも頻繁に発生
Q. EEZ内の資源はどう守られているのですか?
- 体制:水産庁や海上保安庁による巡視・監視
- 国際協力:周辺諸国や国際機関との情報共有
200海里は何キロ?のまとめ
- 200海里は、沿岸国が経済的な独占権を持つ排他的経済水域(EEZ)の範囲
- 1海里は地球の子午線の緯度1分に相当し、1,852メートルと定義されている
- 200海里は1,852mに200をかけた370.4kmに相当する
- 排他的経済水域では、漁業や鉱物資源の開発などの独占的な経済権が沿岸国に与えられる
- 他国の船舶は航行や飛行が自由だが、資源の採取は原則として許可が必要となる
- 領海は海岸線から12海里までの範囲で、沿岸国の完全な主権が及ぶ
- 接続水域は領海の外側12海里までで、取り締まり権限が沿岸国にある
- 公海はEEZの外側の海域で、全ての国が自由に使える
- EEZ制度は、1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)で明確に規定された
- 日本は1996年にこの条約を批准し、自国のEEZを設定した
- 日本のEEZは約447万平方kmで、世界第6位の広さを持つ
- 沖ノ鳥島が「島」と認められることで、日本のEEZは大きく広がっている
- 沖ノ鳥島がもし消滅すると、日本のEEZは大幅に縮小する可能性がある
- EEZを巡る国際問題には、資源をめぐる争いや、他国による侵犯事件などがある
- 海上保安庁や水産庁がEEZ内の資源保護や監視を行っている
- EEZは日本の食料やエネルギー資源と深く関わっており、私たちの暮らしにも影響を与えている
- スーパーで売られている魚の多くは日本のEEZ内で漁獲されたもの
- EEZの資源管理の失敗は、物価の高騰や供給の不安定化につながる
- ニュースで「EEZ」や「領海」といった用語が出たときに、その意味を理解することが重要である
- EEZ内で無許可で漁獲を行うと、沿岸国に拿捕され、罰金や没収のリスクがある
- 資源保護や環境保全のため、周辺国や国際機関との協力も行われている
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