
- じゃがいもを水にさらす理由は変色防止・アク抜き・でんぷん除去の3つ
- 適切な時間は10分程度、長すぎると栄養が流出してしまう
- 料理によってはあえてさらさない方が良い場合もある
- 水にさらす際の温度や方法にもコツがある
- 栄養を最大限活かす下処理方法を知ることで料理が格段に美味しくなる
- 失敗談から学んだプロの技を惜しみなく公開
じゃがいもを水にさらす3つの意味とは?
料理本を開くと必ず書いてある「じゃがいもを水にさらす」という工程。
なぜこの手間が必要なのでしょうか。
実は、じゃがいもを水にさらすことには3つの重要な意味があります。
1. 変色(黒ずみ)の防止効果
じゃがいもは切ってしばらくおくと、アクが出て黒ずんでしまいます。
この現象は酸化が原因です。
空気中の酸素と反応することで起こります。
水にさらすことで酸素との接触を遮断できるでしょう。
実際に私が経験した失敗談をお話しします。
レストランで働き始めた頃、じゃがいもを切って放置してしまいました。
30分後に見ると、見事に黒く変色していたのです。
お客様に提供できない状態でした。
それ以来、切ったらすぐに水につける習慣が身につきました。
2. えぐみ・苦み(アク)の除去
じゃがいもには、えぐみや苦みの原因となるアクが含まれています。
このアクを取り除くことで味が格段に良くなります。
特に新じゃがは皮が薄く、アクが強い傾向があるでしょう。
水にさらすとだんだん水が白く濁ってきて、これはでんぷんが出ている証拠で、同時にアクも流れています。
あなたは料理でえぐみを感じたことはありませんか。
適切にアク抜きをすることで解決できます。
3. 余分なでんぷんの除去
水にさらして余分なでんぷんを落とすことで、料理の際にじゃがいも同士がくっついたり、とろみがついたりするのを防げます。
表面についている粉っぽいでんぷんも取れるので、料理の仕上がりもすっきりします。
とはいえ、でんぷんを活かしたい料理もあります。
ガレットやニョッキなどは、あえてさらさない方が良いでしょう。
じゃがいもの正しい水にさらす方法と時間

基本的な手順
- じゃがいもを洗い、芽を取り除く
- 皮をむき、適当な大きさに切る
- たっぷりの水(じゃがいもが完全に浸かる量)に浸す
- 10分程度さらす
- 水を切り、キッチンペーパーで水気を拭き取る
時間は10分がベスト
あまり長時間水にさらしておくと大事な栄養素や旨味まで水に流れ出てしまうため、
時間を守ってアク抜きすることが重要です。
私の経験では、15分を超えると味が薄くなってしまいます。
一方で、5分では不十分な場合が多いでしょう。
10分という時間は、効果と栄養保持のバランスが最も良い時間です。
水の温度にも注意
冷水を使うのが基本ですが、急いでいる時は常温でも構いません。
ただし、お湯は使わないでください。
栄養素の流出が激しくなってしまいます。
料理別:水にさらすべきか判断する基準

水にさらした方が良い料理
ポテトチップス・フライドポテト
スライスしたじゃがいもを水にさらして水分をしっかりきった後に油で揚げないと、
じゃがいも同士がくっついてしまい失敗の元になります。
揚げ物は特に重要な工程でしょう。
炒め物・細切り料理
細切りにして炒める場合は必須です。
でんぷんがあるとフライパンにくっついてしまいます。
実際に私がカフェで働いていた時の話です。
ハッシュポテトを作る際、水にさらさずに調理したところ、全体がべちゃっとした仕上がりになりました。
お客様に出せない状態で、作り直しになったのです。
サラダ・和え物
生に近い状態で食べる料理では、アク抜きが重要です。
えぐみがあると美味しさが半減してしまうでしょう。
水にさらさない方が良い料理
ガレット・じゃがいも餅
じゃがいものガレットなどでは、でんぷん質でじゃがいも同士をくっつけて作るため、
あえて水にさらさないのが正解です。
でんぷんが天然ののりの役割を果たします。
粉ふきいも
でんぷん質によるホクホク感を活かしたい料理です。
水にさらすと食感が損なわれてしまうでしょう。
カレー・シチュー
味噌汁やカレーは調理するときの水分量が多いため、アクや変色がそれほど気になりません。
むしろでんぷんによるとろみを活かせます。
とはいえ、よりさっぱりした仕上がりにしたい場合は水にさらしても構いません。
栄養面での影響を最小限に抑える方法

失われやすい栄養素
じゃがいもの代表的な栄養素はビタミンCとカリウムです。
長時間さらしてしまうと、せっかく豊富なカリウムが流れ出てしまう可能性があります。
じゃがいもに含まれているビタミンCは、でんぷんに守られているため、加熱しても失われにくい特徴があります。
しかし、水にさらしすぎると流出してしまうでしょう。
栄養を守る工夫
- 時間を10分以内に抑える
- 水を何度も変えない
- 切る大きさを大きめにする(表面積を減らす)
- 皮付きのまま茹でてから皮をむく方法も検討する
あなたはどのような方法で栄養を意識していますか。
プロが教える失敗しないコツ

水の量は重要
じゃがいもがひたひたに浸かる程度では不十分です。
たっぷりの水を使うことで、アクやでんぷんが効率よく抜けます。
私が料理学校で習った時の比率は、じゃがいも1に対して水3の割合でした。
切り方による違い
薄切りほど水にさらす効果が高くなります。
一方で、厚切りは時間がかかるでしょう。
用途に応じて切り方を調整することが大切です。
水にさらした後の処理
水気をしっかりと拭き取ることが重要です。
特に揚げ物の場合、水分が残っていると油がはねて危険でしょう。
キッチンペーパーで丁寧に水気を取ってください。
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じゃがいもの変色防止方法
じゃがいもの変色は、切った瞬間から始まります。
最も効果的な防止方法は、切ったらすぐに水に浸すことです。
レモン汁を数滴加えると、酸の作用でより効果的に変色を防げるでしょう。
ただし、風味に影響する場合があるため、使用量には注意が必要です。
長時間保存する場合は、ラップをして冷蔵庫で保管することをおすすめします。
じゃがいものアク抜き時間
アク抜きの最適時間は、切り方や用途によって変わります。
薄切りなら5-8分、厚切りなら10-15分程度が目安でしょう。
細切りの場合は3-5分で十分です。
新じゃがは皮が薄くアクが強いため、通常より2-3分長めにさらすことをおすすめします。
時間が長すぎると、せっかくの栄養素や旨味が流出してしまうため、タイマーを使って管理しましょう。
じゃがいものでんぷん除去効果
でんぷんの除去は、料理の仕上がりに大きく影響します。
炒め物では、でんぷんが残っているとフライパンにくっつきやすくなるでしょう。
揚げ物では、油の中でじゃがいも同士がくっついてしまいます。
一方で、でんぷんを活かしたい料理では除去しすぎに注意が必要です。
水の濁り具合を見ながら、適度に調整することが重要でしょう。
目安として、水が薄く白濁する程度が理想的です。
よくある質問(FAQ)

Q1. 新じゃがも水にさらす必要がありますか?
新じゃがは皮が薄くアクが出やすいため、
むしろ通常より念入りに水にさらすことをおすすめします。
ただし、皮を活かした料理の場合は、軽く洗う程度でも構いません。
Q2. 水にさらした後、すぐに調理しなくても大丈夫?
水にさらした後は、できるだけ早く調理することが理想です。
長時間放置すると、再び変色やアクの発生が起こる可能性があります。
どうしても時間が空く場合は、水を替えて冷蔵庫で保管してください。
Q3. 皮付きのまま水にさらしても効果はありますか?
皮付きの場合、効果は限定的です。
アクやでんぷんは主に切り口から出るため、皮をむいてから水にさらすのが基本でしょう。
Q4. 水の代わりに塩水を使っても良いですか?
塩水を使うと変色防止効果は高まりますが、塩分が浸透してしまいます。
料理の味付けに影響する可能性があるため、基本は真水を使用してください。
Q5. 冷凍じゃがいもも水にさらす必要がありますか?
冷凍じゃがいもは既に加熱処理されている場合が多く、アク抜きは不要です。
ただし、解凍後に切る場合は、変色防止のため軽く水にさらすと良いでしょう。
実践的な活用テーブル

料理の種類 | 水さらし | 時間目安 | 理由 |
---|---|---|---|
ポテトサラダ | 必要 | 10分 | アク抜き・変色防止 |
炒め物 | 必要 | 8分 | でんぷん除去・くっつき防止 |
フライドポテト | 必要 | 15分 | でんぷん除去・食感向上 |
カレー | 任意 | 5分 | お好みで |
ガレット | 不要 | – | でんぷんを活かす |
粉ふきいも | 不要 | – | ホクホク感重視 |
味噌汁 | 任意 | 3分 | 軽く流す程度 |
料理人が実践する上級テクニック

温度による使い分け
冷水を使うのが基本ですが、夏場は氷水を使うこともあります。
低温で処理することで、じゃがいもの組織が締まり、シャキッとした食感になるでしょう。
一方で、粘質系の料理では常温の水を使うこともあります。
切り方との関係性
薄切りの場合は短時間、厚切りの場合は長めに設定します。
細切りは表面積が大きいため、3-5分で十分でしょう。
乱切りの場合は、大きさがバラバラなので様子を見ながら調整することが重要です。
季節による調整
春の新じゃがはアクが強いため、通常より2-3分長めにさらします。
秋のじゃがいもは糖度が上がっているため、でんぷん除去に注意が必要でしょう。
冬場は空気が乾燥しているため、変色が早く進みます。
失敗から学んだ教訓
以前、忙しい厨房で水にさらす時間を短縮しようと考えました。
結果、ポテトフライが油の中でくっついてしまい、見た目が悪くなったのです。
時間短縮よりも、確実な下処理の方が最終的に効率が良いことを学びました。
それでも急いでいる時はどうすれば良いのでしょうか。
冷水を使い、軽くかき混ぜることで時間を短縮できます。
さらさない方が良い場合の判断基準

でんぷん質を活かしたい料理
じゃがいも餅やガレットは、でんぷんが接着剤の役割を果たします。
水にさらすとバラバラになってしまうでしょう。
時短を重視する場合
カレーや味噌汁など、長時間煮込む料理では省略可能です。
煮込む過程でアクが自然に抜けていきます。
栄養を最優先したい場合
ビタミンCやカリウムを最大限摂取したい時は、水さらしを最小限に抑えます。
皮ごと調理する方法も検討してみてください。
地域による違いと文化的背景
北海道などじゃがいもの産地では、品種による使い分けが一般的です。
男爵いもは水にさらす、メークインはそのまま使うなど、地域の知恵があります。
フランス料理では、用途に応じて厳密に使い分けているでしょう。
和食でも、茶懐石などでは繊細な下処理が重視されます。
あなたの地域ではどのような習慣がありますか。
現代の調理器具との関係

電子レンジ調理が増えた現代では、水さらしの重要性が見直されています。
レンジ加熱の場合、アクが残りやすいためです。
圧力鍋を使う場合は、短時間で済むため省略することもあります。
スチーマーでは、蒸気の効果でアクが自然に抜けるでしょう。
エアフライヤーでの注意点
最近人気のエアフライヤーでは、水さらしが特に重要になります。
油を使わない分、でんぷんの除去が仕上がりを左右するからです。
保存との関係性
水にさらした後のじゃがいもは、そのまま冷蔵保存もできます。
ただし、2-3日以内に使い切ることが大切でしょう。
冷凍する場合は、一度茹でてから冷凍する方が良いです。
生のまま冷凍すると食感が変わってしまいます。
まとめ:美味しいじゃがいも料理への第一歩
じゃがいもを水にさらすことは、単純ながら奥深い技術です。
変色防止、アク抜き、でんぷん除去という3つの効果を理解することで、料理の幅が格段に広がります。
10分という時間を守り、料理に応じて使い分けることが重要でしょう。
私自身も数々の失敗を経て、この技術の大切さを実感しました。
あなたも今日から、この知識を活かして美味しいじゃがいも料理を作ってみませんか。
きっと今までより美味しく仕上がるはずです。
じゃがいもを水にさらす意味の要点まとめ
- じゃがいもを水にさらす理由は変色防止・アク抜き・でんぷん除去の3つ
- 適切な時間は10分程度が目安
- たっぷりの水を使うことが重要
- 長時間さらすと栄養素が流出してしまう
- 切った直後にすぐ水に浸すことで変色を防げる
- アクを抜くことでえぐみや苦みが取れる
- でんぷんを除去することで料理がくっつきにくくなる
- ポテトチップスや炒め物では必須の工程
- ガレットや粉ふきいもでは逆効果になる場合がある
- 冷水を使うのが基本で、お湯は避ける
- 水気をしっかり拭き取ることが大切
- 新じゃがは通常より長めに水にさらす
- 料理によって水さらしの必要性が変わる
- 切り方によって必要時間が異なる
- 栄養面での影響を最小限に抑える工夫が必要
- カリウムやビタミンCの流出に注意
- 季節によって処理時間を調整する
- 現代の調理器具との関係性も考慮する
- 保存方法と水さらしの関連性がある
- 地域や文化による違いも存在する
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