
- CX-60の不具合は初期モデル特有の問題で、2024年以降は大幅に改善済み
- 約3万4千台を対象とした複数回のリコールが実施され、無料で対応完了
- ハンドル不具合やトランスミッション問題は電装系制御プログラムが原因
- 中古車購入時はリコール対応履歴の確認が必須、2022年前半モデルは要注意
- 現在の値引き相場は50〜70万円程度、決算期なら更に条件が良くなる可能性
- 購入前の試乗と整備履歴確認により、安心して選択できる車に変わっている
マツダ「CX-60」は、不具合が多いという初期モデルの課題を克服し、
現在は大幅に改善されています。
20年間ディーラーで整備士をしていた筆者が、その実態を解説。
購入時期とチェックポイントを押さえれば、素晴らしい車です。
不具合問題は大部分が解決済みですが、購入前の確認は必須。
後悔しないための情報をお届けします。
CX-60の不具合問題とは何だったのか
初期モデルに発生した主な不具合
CX-60は2022年の発売以降、約3万4千台を対象とした複数回のリコールが発生しています。
主な問題は以下の通りです。
電装系の不具合
- ドライバーズパーソナライゼーションの認識不良
- コンビネーションメータの表示異常
- パワーステアリング制御の問題
パワートレイン関連
- トランスミッションの制御不良
- エンジン制御プログラムの不具合
- ハイブリッドシステムの制御異常
安全装備の誤作動
- 緊急自動ブレーキの誤動作
- レーダークルーズコントロールの不具合
- パーキングサポートブレーキの誤作動
これらの問題により、「素敵な航海(後悔)が待っている」と揶揄されるほど、
初期オーナーは苦労しました。
なぜこれほど多くの不具合が発生したのか
マツダが新しいアーキテクチャを採用したことが主な要因です。
CX-60は同社初の縦置きエンジン・後輪駆動プラットフォームを採用しており、
これまでの横置き前輪駆動とは全く異なる設計でした。
新技術の投入により、制御プログラムの最適化が間に合わず、
市場投入後に問題が発覚したのが実情です。
まさに「初期モデルオーナーは開発ドライバー」状態だったのです。
CX-60リコール一覧と最新状況

2022年〜2024年のリコール履歴
2023年4月21日の最初のリコールから始まり、現在までに以下のような対応が行われています。
主要なリコール・改善対策
- 2023年4月:トランスミッション・インバータ・メータ制御プログラム修正
- 2023年11月:エンジン・ビューモニター制御プログラム修正
- 2024年5月:改善対策を国土交通省に届出
- 2024年7月:トランスミッション制御コンピュータの不具合対応
- 2024年10月:動力伝達装置・原動機・電気装置の不具合対応
現在の改善状況
2024年以降に生産された車両では、これらの問題のほとんどが解決されています。
また、既存オーナーへの対応も無料で実施されており、
マツダの対応は比較的迅速だったと評価できます。
CX-60後悔する理由と対策
オーナーが後悔する主なポイント
1. 購入タイミングの問題 初期モデルを購入したオーナーは、頻繁な修理対応に時間を取られました。
2. 期待値とのギャップ マツダのフラッグシップとしての期待が高すぎた面もあります。
3. 情報不足 不具合情報を十分に調べずに購入してしまったケース。
後悔しないための対策
購入時期を慎重に選ぶ 2024年中期以降の生産車両を選択することで、多くの問題を回避できます。
試乗での確認項目
- ハンドルの操作感
- トランスミッションの変速フィール
- 各種警告灯の点灯確認
- 安全装備の動作確認
あなたは試乗時にこれらのポイントをチェックしていますか?
CX-60ハンドル不具合の実態

発生していた症状
初期モデルでは以下のようなハンドル関連の問題が報告されていました。
症状
- ハンドルの重さが不安定になる
- ステアリングアシストの効きが悪い
- 高速走行時のふらつき
改善対策と現状
2024年2月には電動パワステ関連パーツの交換が実施され、
現在はこの問題はほぼ解消されています。
ただし、中古車購入時は対策済みかどうかの確認が必要です。
販売店で整備履歴をしっかりチェックしてもらいましょう。
CX-60の燃費性能について
実際の燃費数値
CX-60の燃費は以下の通りです。
カタログ燃費(WLTCモード)
- ディーゼルモデル:21.0〜21.4km/L
- ハイブリッドモデル:18.0〜19.0km/L
実燃費の傾向 市街地走行では12〜15km/L程度、高速道路では17〜20km/L程度が実際の数値です。
燃費性能については不具合というより、車格相応の数値と考えられます。
あなたが求める燃費基準と比べていかがでしょうか?
CX-60の値引き情報

現在の値引き相場
新車の値引き幅
- 車両本体価格:20〜40万円程度
- オプション込み:50〜70万円程度
値引き交渉のポイント
不具合問題の改善により商品力が向上したため、以前より値引きは渋くなっています。
ただし、年度末などの決算期には条件が良くなる傾向があります。
複数店舗での相見積もりを取ることで、より良い条件を引き出せる可能性があります。
CX-60のサイズと実用性
ボディサイズ
外形寸法
- 全長:4,740mm
- 全幅:1,890mm
- 全高:1,685mm
室内寸法
- 室内長:1,890mm
- 室内幅:1,560mm
- 室内高:1,160mm
これらのサイズは都市部での使用には若干大きめですが、
ファミリーユースやアウトドア用途には十分な広さを確保しています。
駐車場のサイズは事前に確認しておくことをお勧めします。
CX-60の中古車選びのポイント

中古車購入時の注意点
必須確認項目
- リコール対応履歴の確認
- 整備記録簿の詳細チェック
- 保証内容の確認
- 試乗による動作確認
避けるべき車両
- 2022年〜2023年前半の初期モデル(対策未実施車両)
- 事故歴や修復歴のある車両
- メンテナンス履歴が不明な車両
推奨する車両
- 2024年以降の生産車両
- 正規ディーラーでの取り扱い車両
- リコール対応完了済み車両
中古車選びでは、価格だけでなく安心度も重要な判断基準になります。
購入判断のための総合評価
CX-60を選ぶべき人
おすすめできる人
- マツダブランドへの愛着がある方
- 直列6気筒エンジンの魅力を理解している方
- 多少のトラブルも含めて車との付き合いを楽しめる方
- 2024年以降のモデルを選択できる方
慎重に検討すべき人
- 絶対に故障したくない方
- 予算を抑えて購入したい方
- メンテナンスに時間をかけたくない方
他車種との比較検討
同価格帯では、トヨタ・ハリアーやレクサス・NXなども候補になります。
信頼性を最重視するなら、これらの選択肢も検討する価値があるでしょう。
どの車を選ぶにしても、あなたのライフスタイルと優先順位を明確にすることが大切です。
まとめ
CX-60の「不具合だらけ」問題について、以下のポイントが重要です。
- 初期モデル(2022〜2023年前半)には確実に問題があった
- 現在は大部分の問題が解決済みで改善されている
- リコール対応は無料で実施されており、マツダの対応は適切
- 購入時期と事前確認により、リスクは大幅に軽減可能
- 中古車購入時は対策済みかどうかの確認が必須
- 2024年以降のモデルなら安心して選択できる
- 値引き交渉は決算期を狙うと有利になりやすい
- サイズは都市部では大きめだが、ファミリー用途には十分
- 燃費は車格相応で、極端に悪いわけではない
- マツダブランドへの愛着があれば満足度は高い
- 絶対的な信頼性を求めるなら他車種も検討する価値あり
- 購入前の試乗と履歴確認は必ず実施すべき

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