
- 訪問員制度は完全廃止されておらず、約550人の地域スタッフが現在も活動中
- テレビがないことを証明する法的義務は一切なし、プライバシー優先で対応可能
- 2025年10月からネット配信が必須業務化、視聴した場合のみ契約義務が発生
- スマホやPCを持っているだけでは契約不要、NHK ONEを使わなければ問題なし
- 居留守やインターホン越し対応が最も効果的、ドアを開ける必要なし
- 強引な契約は8日以内のクーリングオフまたは解約手続きで対処可能
「テレビを持っていないのに、なぜNHKの訪問員が何度も来るの?」
そんな悩みを抱えている方が急増しています。
特に2025年10月の放送法改正により、NHKの受信料制度が大きく変わり、混乱が広がっています。
この記事では、テレビがない世帯への正しい対応方法から、2025年10月からの新制度まで、
最新情報を網羅的に解説します。
1. 2025年現在のNHK訪問員の実態
訪問員制度は本当に廃止されたのか?

多くの方が誤解していますが、NHK訪問員制度は完全には廃止されていません。
2023年9月に廃止されたのは、外部事業者に委託していた訪問員のみです。
現在も全国に約550人の個人委託スタッフ(地域スタッフ)が活動を続けています。
参考: NHKでは受信料に関するご案内を訪問でも実施しています – NHK受信料の窓口
なぜテレビがないのにしつこく来るのか?
訪問員がしつこい理由は以下の通りです。
契約獲得のノルマ
訪問員には契約数に応じた歩合制給与が設定されており、契約を取れば取るほど収入が増える仕組みです。
そのため、必死に契約を迫ることがあります。
テレビ普及率の高さ
内閣府の調査によると、2人以上世帯でのテレビ普及率は95.7%と非常に高いため、
訪問員は「本当にテレビがないはずがない」と考えがちです。
スマートフォンやパソコンの存在
2025年10月からの法改正を見据え、
テレビがなくてもスマートフォンやパソコンでNHKコンテンツを視聴できるため、受信機器の確認を強化しています。
データベースの共有
訪問員は「ナビタン」と呼ばれる電子機器で各世帯の情報を管理・共有しているため、
担当者が変わっても同じ世帯に繰り返し訪問することがあります。
2. 【重要】2025年10月からの重大な制度変更
放送法改正で何が変わる?

2025年10月1日から、NHKのインターネット配信が「必須業務」になります。
これは受信料制度に大きな影響を与える変更です。
参考: NHKネット配信「必須業務」、放送と同一扱い 改正法成立 – 日本経済新聞
新制度「NHK ONE」の開始
従来の「NHKプラス」に代わり、「NHK ONE」という新しいサービスが開始されました。
サービス内容
- 総合テレビとEテレの番組同時配信
- 放送終了後1週間までの見逃し配信
- 番組関連情報の配信
- ラジオ番組の配信
参考: NHKのネット配信、「必須業務化」でどう変わる? – PHILE WEB
ネット視聴でも受信契約が必要に

最重要ポイント
- テレビを持っていなくても、NHKのネット配信を実際に視聴した場合、受信契約と受信料の支払いが必要になります
- 受信料は地上契約と同額(月額1,100円、年払い12,276円)
- スマートフォンやパソコンを持っているだけでは契約義務は発生しません
- NHKのアプリをダウンロードして認証することで視聴が可能になる仕組み
すでに受信契約がある世帯は?
現在、地上契約または衛星契約をしている世帯は、追加負担なしでネット配信も視聴できます。
テレビとネット両方を利用しても1契約で済みます。
契約義務が発生しないケース
以下の場合は契約義務が発生しません。
- NHKのネット配信を一切視聴しない
- テレビやワンセグ機能付き機器を所有していない
- NHKオンデマンドの無料テキストニュースのみ閲覧
- ホテルのテレビを一時的に視聴(契約主体はホテル)
3. テレビがない場合の正しい対応方法
法的根拠を理解する
放送法第64条では、「NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、
受信契約を締結しなければならない」と定められています。
つまり、受信設備がなければ契約の義務は一切ありません。
参考: 放送法 – e-Gov法令検索
訪問員が来た時の具体的な対応手順
ステップ1: ドアを開けない
インターホン越しで対応するのが最も安全です。
面と向かって話をすると、断りにくくなったり、押し切られてしまう可能性が高まります。
どうしても玄関で対応する場合も、ドアは閉めたまま対応しましょう。
ステップ2: 明確に伝える
「テレビなどのNHK受信機器は一切ありません」とはっきり伝えます。
絶対に避けるべき表現
- 「NHKは見ないので契約しません」
- 「テレビは見ていません」
これらの表現は、テレビがあることを間接的に認めてしまう可能性があります。
ステップ3: 法的知識を示す
訪問員が粘り強く契約を迫ってきた場合は、以下のように伝えましょう。
「私は放送法について理解しています。受信機器を設置した際は、自分からNHKに連絡いたします。
今後の訪問は不要ですので、その旨をデータベースに記録してください。」
このように法的知識があることを示すと、訪問員も無理に契約を迫ることができないと判断します。
テレビがないことの証明は必要?
結論: 証明する義務は一切ありません。
訪問員から「部屋の中を見せてください」「テレビがないことを証明してください」
と言われることがありますが、これに応じる必要は全くありません。
住居の中を見せる義務は法的に存在せず、プライバシーの侵害にもあたる可能性があります。
「証明する義務はありませんし、プライバシーの観点からお断りします」と毅然とした態度で対応しましょう。
スマートフォンやパソコンについて聞かれたら?
訪問員がスマートフォンやパソコンについて質問してくることがあります。
2025年9月まで(現行制度)
- ワンセグ機能がない限り、契約義務なし
- iPhoneユーザーはワンセグ非対応のため契約不要
2025年10月以降(新制度)
- 機器を持っているだけでは契約義務なし
- NHKのネット配信を実際に視聴した場合のみ契約義務が発生
「スマートフォンを持っていますが、NHKのネット配信は一切視聴していません」と明確に伝えましょう。
4. しつこい訪問員への効果的な撃退方法

適切な対応をしてもなおしつこく訪問してくる場合の対処法をご紹介します。
方法1: 居留守を使う
最もシンプルで効果的な方法です。
訪問員と話をしなければ、契約に至ることはありません。
居留守を続けていると、訪問員のデータベースには「不在」や「居留守」と記録され、次第に訪問頻度が減っていきます。
訪問員が担当している地域は広範囲にわたるため、一軒だけのために何度も足を運ぶ時間的余裕はありません。
特に一人暮らしが多いアパートやマンションでは、居留守を使う住人も多いため、比較的早めに諦める傾向があります。
方法2: NHK撃退シールの活用
政治団体などが無料配布している「NHK撃退シール」を玄関に貼る方法もあります。
これにより、訪問員に対して明確に拒否の意思を示すことができます。
注意点
シールを貼っても法的な効力があるわけではないため、過信は禁物です。あ
くまで意思表示の一つと考えましょう。
方法3: NHK放送局にクレームを入れる
しつこい訪問が続く場合は、訪問員の名前と所属を確認し、地域のNHK放送局にクレームを入れることも有効です。
訪問員の行き過ぎた行為については、NHK側も対応せざるを得ません。
具体的な日時・訪問員の名前・問題行動を記録してクレームを入れましょう。
方法4: 警察への通報
以下のような迷惑行為があった場合は、迷わず警察に通報しましょう。
- 帰るよう求めても帰らない(不退去罪)
- 大声を出す
- ドアを叩く
- 脅迫的な言動をする
通報時の伝え方
「敷地内で不審者が騒いでいるので来てください」と伝えれば、10分程度で警察が来てくれます。
方法5: NHK党のコールセンターを利用
NHK党ではコールセンターを設置しており、
「テレビがないのにしつこくて契約してしまった」等のトラブルについての具体的なアドバイスを受けることができます。
5. テレビないのに契約させられた場合の対処法
詐欺にも要注意
残念ながら、テレビがないにもかかわらず契約書にサインしてしまうケースが実際に発生しています。
特に高齢者や一人暮らしの方が狙われやすい傾向にあります。

詐欺の手口例
- 「今契約すれば安くなります」
- 「後で解約できますから」
- 「今日現金で支払えば、未納分を免除します」
- 「支払わないと法的措置を取ります」
重要
現在、NHKの訪問集金は平成20年(2008年)に廃止されているため、
現金での支払いを求められた場合は詐欺の可能性が極めて高いです。
絶対に応じず、すぐに警察に通報してください。
クーリングオフは適用される?
もし訪問員の強引な勧誘によって契約書にサインしてしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。
特定商取引法に基づく「訪問販売」に該当する可能性があり、クーリングオフが適用される場合があります。
契約から8日以内であれば、無条件で契約を解除できる可能性があります。
ただし、NHK受信料契約がクーリングオフの対象になるかについては法的に明確でない部分もあるため、
消費生活センター(電話: 188)や弁護士に相談することをおすすめします。
解約手続きの方法
テレビなどの受信機器を本当に持っていないのに契約してしまった場合は、すぐに解約手続きを行いましょう。
解約の流れ
- NHKふれあいセンター(0120-151515)に電話
- 「受信機器を持っていないので解約したい」と伝える
- 解約届が郵送されてくる
- 必要事項を記入して返送
基本的に証明書類は不要ですが、NHK職員が訪問してお部屋にテレビがないことを確認する場合もあります。
どちらにしても解約は可能です。
6. よくある質問と回答

Q1: 2025年10月以降、スマートフォンを持っているだけで受信料を払わなければならないの?
A: いいえ、違います。スマートフォンやパソコンを持っているだけでは契約義務は発生しません。NHKのネット配信を実際に視聴した場合のみ契約義務が発生します。
Q2: NHKプラスを使わなければ受信料は発生しない?
A: 2025年10月以降、「NHK ONE」として統合されるネット配信サービスを利用しなければ、テレビがない世帯は受信料の支払い義務はありません。
ただし、テレビを設置している場合は引き続き受信契約が必要です。
Q3: ワンセグ機能付きスマートフォンを持っている場合は?
A: 2025年9月まではワンセグ機能があれば契約義務がありますが、
2025年10月以降の新制度では、ワンセグよりも「NHKのネット配信を実際に視聴したか」が重要になります。
ただし、ワンセグでNHKを視聴している場合は引き続き契約義務があります。
Q4: カーナビやパソコンにテレビチューナーがある場合は?
A: テレビチューナーが内蔵されており、NHKの放送を受信できる状態であれば、受信契約の義務があります。
ただし、チューナーがあっても実際に視聴できないようにしていれば、契約義務がない場合もあります。
Q5: 居留守を使い続けても大丈夫?
A: はい、全く問題ありません。居留守は違法ではなく、最も効果的な対処法の一つです。
訪問員と話をしなければ契約に至ることはありません。
Q6: 訪問員が「契約しないと裁判になる」と言われたら?
A: テレビなどの受信機器を本当に持っていない場合、裁判になることはありません。
これは契約を迫るための脅し文句です。毅然とした態度で「受信機器を持っていません」と伝えましょう。
Q7: 2023年に導入された「割増金制度」とは?
A: 正当な理由なく受信契約を結ばなかった場合や、不正な手段で受信料の支払いを免れた場合、
受信料の2倍相当の「割増金」が請求される制度です。
ただし、本当に受信機器を持っていない場合は対象外です。
Q8: NHKオンデマンドの利用は受信契約に影響する?
A: NHKオンデマンドは有料のオンデマンド配信サービスで、2025年10月以降も任意業務として継続されます。
NHKオンデマンドの有料コンテンツを利用する場合でも、テレビやネット配信を視聴していなければ、別途受信契約が必要になる可能性があります。
無料コンテンツのみの利用であれば、基本的に受信契約は不要とされています。
まとめ: 重要ポイントの確認
現行制度(2025年9月まで)
- テレビやワンセグ機能付き機器を持っていない場合、受信契約の義務はありません
- テレビがないことを証明する義務はありません
- 居留守や毅然とした対応が最も効果的です
新制度(2025年10月以降)
- NHKのネット配信を実際に視聴した場合のみ受信契約が必要
- スマートフォンやパソコンを持っているだけでは契約義務なし
- 受信料は地上契約と同額(月額1,100円)
- すでに受信契約がある世帯は追加負担なし
対処法のまとめ
- インターホン越しで対応し、ドアを開けない
- 「受信機器は一切ありません」と明確に伝える
- 法的知識があることを示す
- しつこい場合は居留守、クレーム、警察通報を活用
- 間違って契約した場合は8日以内にクーリングオフまたは解約手続き
テレビを持たないライフスタイルを選択することは、現代社会では珍しいことではありません。
NHK訪問員がしつこく来る理由を理解し、適切な対応方法を身につけることで、無用なトラブルを避けることができます。
大切なのは、法的知識を身につけ、毅然とした態度で対応することです。
テレビなどの受信機器を本当に持っていない場合は、堂々と「ありません」と伝えましょう。
また、2025年10月からの新制度についても正しく理解し、NHKのネット配信を視聴しなければ契約義務は発生しないことを覚えておきましょう。
困った時は一人で悩まず、消費生活センター(188)や警察に相談することをおすすめします。
参考: 消費者ホットライン – 消費者庁
最終更新: 2025年12月
この記事の情報は2025年12月時点のものです。
法改正や制度変更により内容が変更される場合がありますので、
最新情報はNHK公式サイトや総務省のウェブサイトでご確認ください。
記事全体の要点まとめ
- 2023年9月に廃止されたのは外部委託訪問員のみで、約550人の個人委託スタッフは現在も活動継続中
- 放送法第64条により受信設備がなければ契約義務はなく、テレビがないことの証明義務も法的に存在しない
- 2025年10月1日からNHKネット配信が必須業務化され、NHKプラスに代わりNHK ONEサービスが開始
- ネット視聴での受信料は地上契約と同額の月額1,100円だが、実際に視聴した場合のみ契約義務が発生
- スマートフォンやパソコンを所有しているだけでは契約不要で、NHK ONEを利用しなければ問題なし
- 訪問員対応はインターホン越しが最適で、「受信機器は一切ありません」と明確に伝えることが重要
- 部屋の中を見せる要求やテレビがないことの証明要求には応じる必要なく、プライバシーを理由に断れる
- 居留守は違法ではなく最も効果的な対処法の一つで、データベースに記録され訪問頻度が減少する
- 帰らない、大声を出す、ドアを叩くなどの迷惑行為があれば不退去罪で警察への通報が可能
- 強引に契約させられた場合は8日以内のクーリングオフまたは解約手続きで対処でき、消費生活センター(188)に相談可能
- NHKの訪問集金は2008年に廃止済みのため、現金支払いを求められた場合は詐欺の可能性が高い
- 困った時は消費生活センター(188)、NHK放送局へのクレーム、警察通報を活用し、一人で悩まず相談することが大切


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