
- 2025年時点で6県が未出店:徳島、高知、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄(大分・愛媛は2024年末〜2025年に出店)
- 2025年に大分・愛媛へ初出店完了:未出店県が8県から6県へ減少し、全国展開が加速
- 店舗数トップ3は東京・千葉・神奈川:関東圏に集中する出店戦略が明確
- 九州地方は競合ジョイフルが強力:地域密着型チェーンとの競争が出店の壁に
- 物流コストが離島出店の課題:沖縄など遠隔地は輸送費と品質管理が障壁
- 2025年8月期に国内30店舗を新規出店予定:未出店エリアへの展開も視野に
サイゼリヤ未出店県は2025年時点で6県に減少
手頃な価格で本格的なイタリアンを楽しめるサイゼリヤは、全国に1,000店舗以上を展開する人気ファミリーレストランです。
しかし、全国47都道府県のうち、いまだ店舗がない県が存在します。
2024年9月時点では8県が未出店でしたが、その後の出店により状況が変化しています。

2024年時点の未出店県(8県)
四国地方(3県)
- 徳島県
- 愛媛県
- 高知県
九州地方(5県)
- 長崎県
- 大分県
- 宮崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
2025年時点の未出店県(6県)
2024年12月の大分県出店と2025年6月の愛媛県出店により、以下の6県が未出店県として残っています。
四国地方(2県)
- 徳島県
- 高知県
九州地方(4県)
- 長崎県
- 宮崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
2025年の出店計画で未出店県が減少
サイゼリヤは積極的な出店計画を進めており、2025年には大きな動きがありました。
2024年12月:大分県初出店
大分県のトキハわさだタウンに県内1号店がオープンしました。
これにより、九州地方での空白地帯が一つ埋まることになりました。
2025年6月:愛媛県2号店出店予定
イオンスタイル松山への出店が予定されており、四国地方での店舗網がさらに充実します。
2025年8月期の出店計画
サイゼリヤは2025年8月期に国内で30店舗を新規出店する計画を発表しています。
設備投資額は約27億円で、未出店県への展開も視野に入れた積極的な戦略を展開中です。
青森県での急速な展開
2023年5月に青森県へ初出店して以降、わずか2年足らずで7店舗体制を構築。
2025年2月には青森市と八戸市に新店舗をオープンし、東北地方での存在感を高めています。
これらの動きにより、2025年時点での未出店県は6県程度まで減少する見込みです。
サイゼリヤの店舗数が多い県ランキングTOP10
全国に約1,050店舗を展開するサイゼリヤですが、都道府県別の店舗数には大きな偏りがあります。
店舗数ランキング(2024年時点)
- 東京都:193~206店舗 首都圏の中心として圧倒的な店舗数を誇ります。
- 千葉県:121~123店舗 サイゼリヤ発祥の地であり、創業者が千葉県市川市に1号店を開いたことから店舗密度が高い地域です。
- 神奈川県:122~127店舗 人口密度の高さと商業施設の多さが店舗展開を後押ししています。
- 埼玉県:93~94店舗 本社が埼玉県吉川市にあり、物流面でも有利な立地です。
- 大阪府:72~88店舗 関西圏最大の都市として多くの店舗が集中しています。
- 愛知県:78店舗 中部地方の中核都市として安定した店舗展開を実現しています。
- 兵庫県:47店舗 神戸や姫路など主要都市に店舗を展開しています。
- 宮城県:19~20店舗 東北地方では最多の店舗数を誇ります。
- 福島県:14店舗 サイゼリヤの自社農場がある県として重要な拠点です。
- 福岡県:23店舗 九州地方唯一の20店舗超えを達成しています。
人口10万人あたりの店舗密度
人口比で見ると、以下の順位になります。
- 千葉県:1.82軒
- 東京都:1.58軒
- 神奈川県:1.28軒
- 埼玉県:1.26軒
- 三重県:1.04軒
このデータから、サイゼリヤが関東圏を中心に「ドミナント戦略」(特定地域への集中出店)を採用していることが明確にわかります。
サイゼリヤが未出店の理由を徹底分析
なぜ特定の県にはサイゼリヤが出店していないのでしょうか。
その背景には複数の要因が絡み合っています。
1. 地域密着型競合チェーンの存在
ジョイフルの九州支配

九州地方、特に大分・宮崎・鹿児島では、地元発祥のファミリーレストラン「ジョイフル」が圧倒的なシェアを持っています。
- 鹿児島県:52店舗
- 大分県:46店舗
- 宮崎県:36店舗
ジョイフルはサイゼリヤと同様の価格帯でメニューを提供しており、地元の人々に長年愛されてきました。
この強固な地盤があるため、サイゼリヤが参入しても顧客を獲得するのは容易ではありません。
2. 観光地特有の消費者ニーズ
沖縄県や長崎県などの観光地では、訪れる観光客が地元の郷土料理や特産品を求める傾向が強くあります。
沖縄県の事例
- ゴーヤチャンプルー、タコライス、ラフテーなど独自の食文化が根付いている
- 観光客は「沖縄ならではの食事」を期待する
- 全国チェーンよりも地元料理店が選ばれやすい
- 観光地中心部の家賃が高く、低価格路線のサイゼリヤには負担が大きい
このような地域では、全国共通メニューを提供するチェーン店は需要を獲得しにくい環境にあります。
3. 人口規模と商圏の課題
飲食チェーンは一般的に人口の多い都市部から出店を進めます。
四国3県の人口データ
- 徳島県:約72万人
- 高知県:約69万人
- 愛媛県:約133万人
これらの県は人口が比較的少なく、さらに商圏が分散しているため、大規模なチェーン展開が難しい面があります。
ただし、人口最少県である鳥取県(約55万人)や島根県(約67万人)にはすでにサイゼリヤが出店しています。
このことから、人口だけが出店の可否を決める要因ではないことがわかります。
4. 物流コストと品質管理の困難さ
サイゼリヤは自社工場(セントラルキッチン)で食材を加工し、各店舗に配送するシステムを採用しています。
主要な自社工場の所在地
- 福島県白河市(農場・工場)
- 埼玉県
- 神奈川県
- 兵庫県
これらの工場から遠い地域、特に離島や九州南部への配送には以下の課題があります。
輸送コストの増大
- 航空便や船便が必要
- 通常の陸送に比べてコストが大幅に増加
- 低価格を維持することが困難に
品質管理の難しさ
- 輸送時間が長くなる
- 冷凍・冷蔵食品の温度管理が複雑化
- 天候や交通事情の影響を受けやすい
スケジュールの不確実性
- 定期的な配送が難しい
- 在庫管理が複雑になる
サイゼリヤが掲げる「全国一律価格・品質保証」を実現するためには、これらの課題をクリアする必要があります。
5. 地理的・地形的な制約
長崎県のように離島を多く抱える地域では、一括配送が困難です。
各島への個別配送は非効率であり、物流網の構築に大きなコストがかかります。
サイゼリヤの出店戦略とドミナント方式

サイゼリヤの出店には明確な戦略があります。
ドミナント戦略とは
特定の地域に集中的に店舗を出店する手法です。この戦略には以下のメリットがあります。
物流効率の向上
- 配送距離が短縮される
- 1回の配送で複数店舗をカバーできる
- 輸送コストを大幅に削減
広告宣伝の効率化
- 地域集中型の広告が可能
- 認知度が一気に高まる
- 口コミ効果が生まれやすい
管理効率の改善
- エリアマネージャーによる複数店舗の巡回が容易
- 品質管理の徹底が可能
- 従業員の店舗間移動がスムーズ
段階的な全国展開
サイゼリヤの出店履歴を見ると、段階的に出店エリアを広げていることがわかります。
東北地方への展開
- 2021年:秋田県初出店
- 2022年:岩手県初出店
- 2023年:青森県初出店(東北最後の空白県)
中国地方への展開
- 2022年:鳥取県・島根県初出店
四国地方への展開
- 2022年:香川県初出店(四国初)
- 2025年:愛媛県出店予定
このように、まず1県に初出店し、そこを拠点として周辺県へ展開を広げていく戦略が見て取れます。
今後の出店可能性が高い県
現在の出店状況と戦略から、今後の展開が予想される地域を分析します。
短期的な出店候補(1~2年以内)
徳島県
- 四国で唯一香川県に隣接
- 香川県の店舗から物流支援が可能
- 2025~2026年の出店が有力
高知県
- 愛媛県への出店後、四国内の物流網が確立
- 2026~2027年の出店が見込まれる
中期的な出店候補(3~5年以内)
宮崎県・鹿児島県
- 大分県への出店で九州での拠点が増加
- 福岡県からの物流ルートを南下させる形での展開が予想される
長崎県
- 佐賀県・熊本県に店舗があるため物流面の課題は比較的小さい
- 離島への配送問題が解決すれば出店の可能性
長期的な課題(5年以上)
沖縄県
- 最も出店が難しい地域
- 物流コストと地域特性の両面で課題
- 店舗数が増えて全国的な物流網が確立された後の展開か
サイゼリヤの未出店県と競合ファミレスの状況

未出店6県では、どのファミリーレストランが主流なのでしょうか。
未出店県のファミレス店舗数比較(2025年9月時点)
徳島県
- ガスト:最多
- ジョイフル:少数
愛媛県
- ガスト:比較的多い
- ジョイフル:中規模
高知県
- ガスト:存在
- ジョイフル:少数
長崎県
- ジョイフル:中規模展開
- ガスト:存在
大分県
- ジョイフル:46店舗(圧倒的)
- ガスト:少数
宮崎県
- ジョイフル:36店舗(最多)
- ガスト:少数
鹿児島県
- ジョイフル:52店舗(最多)
- ガスト:中規模
沖縄県
- ガスト:最多
- ジョイフル:少数
この比較から、九州地方ではジョイフルの圧倒的な強さが明確です。
サイゼリヤが九州南部に出店する際は、この競合との差別化が重要になります。
サイゼリヤの企業概要と経営戦略
企業の基本情報
会社名: 株式会社サイゼリヤ
本社所在地: 埼玉県吉川市
創業: 1973年(千葉県市川市に1号店開店)
店舗数:
- 国内:1,038店舗(2024年8月末)
- 海外:531店舗(中国、シンガポール、台湾など)
- 合計:1,569店舗
企業理念: 「日本を真に豊かな国にするお手伝いをする」
2024年8月期の業績
サイゼリヤの業績は好調を維持しています。
- 売上高:2,245億42百万円(前期比22.5%増)
- 営業利益:148億63百万円(前期比105.8%増)
- 経常利益:155億85百万円(前期比96.0%増)
- 当期純利益:81億49百万円(前期比58.1%増)
コロナ禍からの回復と効率化施策が功を奏し、大幅な増収増益を達成しています。
2025年8月期の計画
出店計画: 国内30店舗の新規出店
設備投資: 約27億円
重点施策:
- QRコード注文システムの全店導入(2025年8月までに完了予定)
- セルフレジの活用推進
- 店舗マネジメント力の強化
- 朝食限定メニューの実験展開
海外展開の加速
サイゼリヤは国内だけでなく、海外展開も積極的に進めています。
2025年の動き
- 4月:ベトナムに初出店(ホーチミン市)
- 4月:オーストラリア進出を目指して子会社設立を発表
- 7月:中国の武漢市に子会社設立(内陸部への展開)
- 8月:マレーシアに子会社設立を発表
国内市場の成熟を見据え、アジア・オセアニア地域での事業拡大を図っています。
サイゼリヤの低価格戦略の秘密
なぜサイゼリヤは他のファミレスと比べて低価格を実現できているのでしょうか。
1. セントラルキッチンシステム
自社工場で大量生産し、店舗での調理工程を最小限に抑えることで、人件費と食材ロスを削減しています。
2. 垂直統合モデル
福島県白河市に100万坪の自社農場を保有し、一部の食材を自社生産しています。中間マージンをカットすることでコスト削減を実現しています。
3. グローバル調達
オーストラリアにも食材製造拠点を持ち、世界各地から最もコストパフォーマンスの高い食材を調達しています。
4. シンプルなオペレーション
メニューを絞り込み、調理工程を標準化することで、店舗スタッフの教育コストを削減し、オペレーションの効率を高めています。
5. IT投資による効率化
- オーダーエントリーシステム(1987年導入)
- セルフレジ(2024年全店導入完了)
- QRコード注文システム(2025年全店導入予定)
これらの技術投資により、人件費を抑えつつサービス品質を維持しています。
サイゼリヤに関するよくある質問

Q1. サイゼリヤがない県で最も出店の可能性が高いのは?
2025年の動向を見ると、徳島県が最も可能性が高いと考えられます。
四国地方では香川県と愛媛県に店舗があり、物流網の構築が進んでいるためです。
Q2. サイゼリヤの価格帯は他のファミレスと比べてどうですか?
サイゼリヤは業界トップクラスの低価格を実現しています。
パスタが400円台から、ピザが400円前後で提供されており、
他の大手ファミレスチェーンと比較して20~30%程度安い価格設定になっています。
Q3. サイゼリヤの人気メニューランキングは?
公式発表ではありませんが、以下が人気メニューとされています。
- ミラノ風ドリア(300円)
- マルゲリータピザ(399円)
- ペペロンチーノ(340円)
- ミートソース(399円)
- 辛味チキン(299円)
Q4. サイゼリヤは沖縄にいつ出店する?
現時点で具体的な計画は発表されていません。
物流コストと地域特性の課題から、出店のハードルは高いと考えられます。
実現するとしても2030年以降になる可能性があります。
Q5. サイゼリヤのモーニングメニューはありますか?
2025年8月から一部店舗で朝食限定メニューの実験を開始しました。
現在は限定的な提供ですが、今後拡大する可能性があります。
まとめ:サイゼリヤの全国展開は着実に進行中
記事の要点まとめ
- サイゼリヤの未出店県は2024年9月時点で8県だったが、2025年時点で6県に減少
- 2024年12月に大分県、2025年6月に愛媛県へ初出店し、四国・九州での展開が進行中
- 現在の未出店県は徳島、高知、長崎、宮崎、鹿児島、沖縄の6県
- 店舗数が最も多いのは東京都(約200店舗)、次いで千葉県、神奈川県と関東圏に集中
- 九州南部では地元チェーン「ジョイフル」が強力な競合として存在
- 沖縄県などの離島地域は物流コストと品質管理の課題から出店が最も困難
- サイゼリヤはドミナント戦略を採用し、特定地域への集中出店で効率化を実現
- 2025年8月期に国内30店舗の新規出店を計画、未出店県への展開も加速
- セントラルキッチンシステムと垂直統合モデルにより業界トップクラスの低価格を実現
- 2024年8月期は売上高2,245億円、営業利益148億円と大幅な増収増益を達成
- 国内展開に加えて、ベトナム、オーストラリア、マレーシアなど海外進出も加速中
- 全国47都道府県制覇に向けて、着実に出店エリアを拡大している段階
サイゼリヤは創業から50年以上かけて、着実に全国展開を進めてきました。
未出店の地域にも、物流網の整備と市場調査を経て、慎重に出店を進めています。
今後数年以内に、さらに多くの都道府県でサイゼリヤの味を楽しめるようになるでしょう。
低価格で質の高いイタリアンを提供するというサイゼリヤの理念は、これからも多くの人々に支持され続けることが期待されます。

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