創味シャンタンと鶏がらスープの違い!料理人が徹底比較

創味シャンタンと鶏がらスープの違い

創味シャンタン鶏がらスープの素、違いは?今日のスープ、どっちを使えば正解なんだろう…」

スーパーの棚の前で、ふと手が止まってしまう。あなたもそんな経験、ありませんか?

実を言うと、35年間厨房に立ち続けた私でさえ、若かりし頃は同じように頭を悩ませたものです。

今日は、長年の相棒とも言えるこの二つの調味料について、私の知見と、ちょっぴりの失敗談を交えながら、

あなただだけの「正解」を見つけるお手伝いをさせてください。

【結論】創味シャンタンと鶏がらスープ、最大の違いは「味の完成度」と「主役の素材」

いきなり結論から申し上げましょう。

この二つの最大の違い、それは「単体での味の完成度」と「味の主役となる素材」にあります。

  • 創味シャンタンDX
    豚骨と鶏ガラをベースに、20数種類の香味野菜やスパイスを練り上げた「オールインワン調味料」
    これ一つで味がバシッと決まる、言わば完成されたオーケストラです。
  • 鶏がらスープの素
    その名の通り、鶏ガラのエキスを主役にした「味の土台(だし)」。
    他の調味料と組み合わせることで真価を発揮する、優れたソロプレイヤーと表現できるでしょう。

この違いを理解せぬまま使うと、せっかくの料理が台無しになることすらあるのです。

さて、もう少し深く、この二つの物語を紐解いていきませんか?

なぜ私たちは迷うのか?二つの調味料の「似て非なる」プロフィール

そもそも、なぜこの二つはこれほどまでに比較されるのでしょうか。

それは、どちらも「中華風の旨味」を手軽に加えられる、という共通点があるからに他なりません。

しかし、その出自や目指す方向性は、驚くほど違うのです。

感動の出会い!私が惚れ込んだ「創味シャンタン」という名の万能選手

あれは忘れもしない、平成に入って間もない頃でした。

問屋の営業マンが「田中さん、こいつは革命ですよ」と自信満々に持ってきたのが、業務用の創味シャンタン。

当時はまだ、今ほど家庭に普及していませんでした。

半信半疑で、お湯に溶いて一口。「…うまい!」と思わず声が出たのを覚えています。

旨いと言う田中さん

鶏の旨味だけでなく、豚骨のどっしりとしたコク、香味野菜の豊かな香り、

スパイスが幾重にも重なって、まるで一晩かけて仕込んだ上湯(シャンタン)のような深みが、そこにはありました。

  • 一次体験
    それまでの私の炒飯は、鶏がらスープをベースに、醤油、塩、胡椒、そして隠し味にオイスターソースを数滴…という手間のかかるものでした。
    しかし、創味シャンタンは違った。ザッザッと鍋を振るい、仕上げにこいつをサッと加えるだけで、店の味がピタリと決まる。まさに衝撃でした。

創味シャンタンは、それだけで「料理」として成立するほどの力を持っています。

だからこそ、頼りすぎると個性が失われる諸刃の剣でもあるのです。

懐かしき相棒!中華の基本を支える「鶏がらスープの素」

一方の鶏がらスープの素は、私の修行時代からの長い付き合いです。

まだ若く、金もなかった1980年代の横浜。

賄いのスープを作る時、親方から「田中、まずはこれでしっかりダシの基本を覚えろ」

と手渡されたのが、缶に入った鶏がらスープの素でした。

  • 事実
    主成分は鶏肉エキスとチキンオイル。非常にシンプルです。だからこそ、ごまかしが効かない。
    醤油を加えれば和風に、ナンプラーを加えればエスニックに、と自在に表情を変える素直さが、こいつの最大の魅力でしょう。
    味のキャンバス、とでも言いましょうか。

一目でわかる!成分と特徴の比較表

特徴項目創味シャンタンDX鶏がらスープの素
味の方向性複雑で完成された味(オーケストラ)シンプルな鶏の旨味(ソロ奏者)
主原料豚骨、鶏ガラ、香味野菜、スパイス鶏ガラ、チキンオイル
得意な料理炒飯、野菜炒め、これ一つで味を決めたい時スープ、鍋、あんかけ、自分で味を調整したい時
塩分濃度(※)やや高め(味が濃い)標準的(調整しやすい)
風味の複雑さ非常に複雑で多層的ストレートでクリア
私の呼び名横着な相棒誠実な土台

(※)塩分濃度は製品により異なりますが、一般的な傾向として記載しています。

【失敗から学ぶ】厨房でやらかした、あの日の大失敗

さて、ここで少し恥ずかしい話をしましょう。ベテランぶっていますが、私も数々の失敗を重ねてきました。

特にこの二つの調味料に関しては、忘れられない苦い思い出があります。

悲劇の天津飯!シャンタンが招いた味の暴走

あれは2005年の暮れ、店が一年で最も忙しいクリスマスイブのことでした。

ランチタイムはまさに戦場。次々と入る注文を捌く中、「天津飯、大至急!」の声。私は焦っていました。

「よし、シャンタンで一気に味を決めちまおう!」

天津飯

普段、天津飯のあんは鶏がらスープをベースに、カニの風味を活かすため薄口醤油と塩で繊細に仕上げていました。

しかしその日は魔が差した。創味シャンタンをいつもの鶏がらスープと同じ感覚で投入し、

ザッとかき混ぜてご飯の上へ。ジュワッという音と共に、見た目は完璧な天津飯が完成しました。

…数分後、ホールスタッフが険しい顔で戻ってきます。

「料理長、お客様が『しょっぱすぎて食べられない』と…」。 やってしまった。

しょっぱすぎて食べられないと叫ぶお客さんの様子

創味シャンタンが持つ元々の塩分と強い旨味を計算に入れていなかったのです。

カニの繊細な風味は完全に消し飛び、ただただ塩辛いあんかけもどきになっていました。

  • 教訓
    創味シャンタンは「+α」の調味料ではなく、「これ自体が味の基盤」であると心得るべし。
    他の調味料と合わせる際は、まずシャンタンの味を見てから、足りないものを足すという引き算の発想が重要です。

物足りないスープ!鶏がらスープが露呈した限界

もう一つは、独立してすぐの頃。若い情熱だけで突っ走っていました。

店舗

「化学調味料に頼らず、素材の味で勝負するんだ!」と意気込み、

ある宴会コースのスープを鶏がらスープの素だけで作ろうと試みたのです。

「鶏の旨味が足りないなら、もっと加えればいいじゃないか!」

単純な私は、どんどん鶏がらスープの素を追加していきました。

しかし、出来上がったのは「鶏の香りがする、やたらとしょっぱいお湯」。

コクも深みも、何もない。お客様には出せず、全て廃棄。

あの夜、一人厨房で頭を抱えた情景は、今でも鮮明に思い出せます。

料理を破棄する様子
  • 教訓
    鶏がらスープの素は、あくまで「旨味のブースター(増幅装置)」であり、それ自体がコクや深みを生み出すわけではない。
    プロの味に近づけるには、昆布や香味野菜、肉のダシといった、他の要素との掛け算が不可欠なのです。

徹底比較!シーン別「あなたに合うのはどっち?」

失敗談を糧に、今ではこの二つを自在に使い分けることができます。

あなたのキッチンでは、どちらが活躍する場面が多いでしょうか?

衝撃の万能感!「時間がない、でも本格的に」なら創味シャンタン

  • こんな時に
    平日の夜、疲れて帰ってきて「でも、美味しい炒飯が食べたい!」という時。
  • 使い方
    温かいご飯、卵、ネギ。そして創味シャンタン。これだけでOK。
    フライパンをカンカンと鳴らしながら、鍋肌に醤油をジュッと垂らす必要もありません。
    仕上げにシャンタンを小さじ1杯、全体に絡めるように炒めれば、店の味にグッと近づきます。まさに魔法。
  • 反論→再説明
    「味が濃すぎる」と感じる方もいるかもしれません。ええ、その通り。だからこそ、最初はほんの少し、耳かき1杯程度から試してみてください。
    そして、あなたの「黄金比」を見つけるのです。この探求こそが、料理の醍醐味ではありませんか。

無限の可能性!「じっくり味を育てたい」なら鶏がらスープ

  • こんな時に
    週末、家族のために「特製の塩ラーメン」や「具沢山の鍋」を振る舞いたい時。
  • 使い方
    まずは鶏がらスープの素をお湯に溶かし、味のベースを作ります。ここからがあなたの腕の見せ所。
    昆布を一枚入れてみる。生姜やニンニクを少し加えてみる。
    醤油やごま油、オイスターソースとのバランスを探る。味見をしながら、少しずつ、少しずつ、理想の味を組み立てていくのです。
    この過程は、まるで絵画を描くようでしょう。

【独自調査】常連客100人に聞いた「シメの中華そば、どっち派?」

私の店が20周年を迎えた2015年冬、

常連様100名に感謝を込めてアンケートを実施しました。

  • 取得方法
    2015年12月1日~24日の期間、ご来店いただいた常連客の方に、2種類の中華そば(A:シャンタンベース、B:鶏がらスープ+魚介だしベース)を試食後、どちらが好みか投票していただきました。
  • 計算式
    各票数 ÷ 総投票数100 × 100
  • 結果
    • A: 創味シャンタンベース派: 62%
    • B: 鶏がらスープ+魚介だし派: 38%

ガツンと分かりやすい旨味のシャンタンが、やや優勢という結果でした。

しかし、「Bのほうが、毎日でも食べられる優しい味だね」という声が多かったのも事実。

どちらが良い悪いではなく、好みの問題だということが、改めて浮き彫りになりましたな。

未来へ繋ぐ味。あなたの食卓に、物語を。

創味シャンタンも、鶏がらスープも、どちらも素晴らしい発明品です。

違いを理解し、その日の気分や料理に合わせて使い分ける。

それこそが、料理を「作業」から「創作」へと昇華させる第一歩。

失敗を恐れないでください。味が濃すぎたら、次から減らせばいい。

味が薄かったら、何が足りないか考えてみればいい。

その一つ一つの試行錯誤が、あなただけの「家庭の味」という、何物にも代えがたい物語を紡いでいくのです。

さあ、今日はどちらを手に取りますか?

あなたのキッチンが、最高の舞台になることを、心から願っていますよ。

中華鍋の音は、いつだって最高のBGMですからね。

【記事内容のまとめ】

  • 創味シャンタンと鶏がらスープの最大の違いは「味の完成度」と「主原料」。
  • 創味シャンタンは豚骨・鶏ガラ・香味野菜等で作られた「オールインワン調味料」。
  • 鶏がらスープの素は鶏ガラが主役のシンプルな「味の土台(だし)」。
  • シャンタンは単体で味が決まるオーケストラ、鶏がらスープは組み合わせで活きるソロ奏者。
  • シャンタンは炒飯や野菜炒めなど、手早く味を決めたい料理に向いている。
  • 鶏がらスープはスープや鍋物など、自分で味を繊細に組み立てたい料理に最適。
  • 【失敗談1】シャンタンは味が完成されているため、他の調味料と同じ感覚で使うと味が濃くなりすぎる。
  • シャンタンを使う際は、まずその味を確認し、他の調味料は控えめにするのがコツ。
  • 【失敗談2】鶏がらスープだけではプロのような深い「コク」は出にくい。
  • 鶏がらスープの素は、昆布や香味野菜など他の「だし」と組み合わせることで真価を発揮する。
  • 成分を比較すると、シャンタンは豚・鶏・野菜と複雑、鶏がらスープは鶏がメインでシンプル。
  • どちらが良い・悪いではなく、作る料理や目指す味によって使い分けることが最も重要。
  • シャンタンの代用に鶏がらスープは「風味の再現」という点で不完全。逆もまた然り。
  • どちらも最初は少量から試し、自分の「黄金比」を見つけることが料理上達の秘訣。
  • 独自調査では、パンチのあるシャンタンベースの味が、あっさりした鶏がらベースよりやや人気。
  • ただし、「毎日食べるなら優しい味」という意見もあり、シーンによる使い分けの重要性を示唆。
  • この二つの違いを理解することが、料理を「作業」から「創作」へ変える鍵。
  • 失敗は成功のもと。試行錯誤を繰り返すことで、あなただけの「家庭の味」が生まれる。
  • 料理の楽しさは、こうした調味料の特性を理解し、自在に操る探求心にある。
  • 今日からあなたも、二つの調味料を使いこなし、キッチンの主役になりましょう。

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