
- 白ぶどうとは?: 皮が緑〜黄緑色のぶどうの「色の総称」。品種名ではありません。
- マスカットとは?: 特有の「マスカット香」を持つ「品種グループ名」です。
- 2つの関係: マスカットは「白ぶどう」の一種です。しかし、白ぶどうの中にはマスカット香がしない品種(ナイアガラなど)も沢山あります。
この記事では、元青果店員の筆者が、2つの決定的な違い、代表品種、プロの選び方まで詳しく解説します。
- 白ブドウ
皮が緑色から黄緑色のブドウを白ブドウと呼んでいます。 - 白ブドウの中のマスカット
甘く豊かな香りを持つブドウの品種をマスカットと呼んでいます。
つまり分かりやすく言うと、「白ブドウ」とい呼ばれる数多いブドウの中の一つに
、「マスカット」と呼ばれるブドウがありますと言う事です。
マスカットと呼ばれるブドウは国内では十数種以上存在しています。
つまり、リンゴの中の種類に「ふじ」や「つがる」があるのと同じ関係ですね。
もっと詳しく!白ブドウとマスカットの関係性を深掘り
結論は分かりましたが、もう少し詳しく知ると、ブドウ選びがもっと楽しくなります。
それぞれの言葉の意味を、もう少しだけ深掘りしてみましょう。
「白ブドウ」は色の名前!品種名ではありません

驚かれるかもしれませんが、「白ブドウ」という名前の品種は存在しないのです。
赤ブドウや黒ブドウと同じように、あくまで皮の色で分けたときの呼び名にすぎません。
皮が緑色のブドウは、光合成で作られた葉緑素(クロロフィル)という色素が分解されずに残るため、熟しても緑色をしています。
有名なシャインマスカットやナイアガラも、色の分類では「白ブドウ」の一員というわけです。
「マスカット」は香りの称号!高貴なムスクの香り

一方、「マスカット」は、その独特な香りに由来する名前です。
「ムスク(麝香:じゃこう)」のような甘く華やかな香りを持つことから、「マスカット」と呼ばれるようになりました。
この香りの正体は「マスカット香」とも呼ばれ、特定の品種だけが持つ特別な香り成分によるものです。
つまり、白ブドウの中でも、このマスカット香を持つ品種だけが「マスカット」と呼ばれています。
【失敗談】「マスカット」の表示に注意!

私が青果店で働き始めたばかりの頃、大きな失敗をしてしまいました。
ある日、見た目は立派な「マスカット」が、驚くほど安くお店に入荷したんです。
「これは絶対にお買い得だ!」 そう確信した私は、自信満々でお客様にオススメしました。
しかし数日後、そのお客様から「この前のブドウ、全然マスカットの香りがしなかったわ…」
と言われてしまったのです。
慌てて調べてみると、そのブドウはマスカット特有の香りを持たない品種だったのです。
見た目がそっくりなため、「マスカット」として入荷していたんですね。
この苦い経験から、売る場合はしっかり確認する大切さを痛感しました。
本物のマスカットは、パッケージを開けただけで、うっとりするような甘い香りがふんわりと広がるもの。
見た目だけでなく、ぜひ香りにも注目して選んでみてください。
一目でわかる!白ブドウとマスカットの違い比較表
言葉だけでは分かりにくい部分を、簡単な表にまとめました。
| 項目 | 白ブドウ | マスカット |
|---|---|---|
| 分類 | 色の総称 | 品種グループ名 |
| 定義 | 皮が緑〜黄緑色のブドウ全般 | 白ブドウの中で特有の香りを持つもの |
| 香り | 品種による(香りが弱いものも多い) | 非常に強く、甘く華やかな香り |
| 代表品種 | シャインマスカット、ナイアガラ、甲州 | マスカット・オブ・アレキサンドリア |
| 値段 | 手頃なものから高価なものまで幅広い | 高価な傾向が強い |
【プロの選び方】スーパーで美味しいマスカットを見分ける3つのコツ

せっかくなら、一番美味しい状態のマスカットを選びたいですよね。
元青果店員として、数々のブドウを見てきた私が、誰でも簡単にできる見分け方のコツを3つだけ伝授します。
コツ1:軸の色を見るべし!「緑色」が新鮮の証
まずチェックしてほしいのが、ブドウの「軸」です。新鮮なブドウの軸は、綺麗な緑色をしています。
収穫から時間が経つにつれて、軸は茶色く枯れていきます。
軸が茶色いものは、粒がポロポロと落ちやすくなっていたり、鮮度が落ちていたりする可能性が高いので注意してくださいね。
コツ2:粒のハリと大きさを確認!パンパンが理想
次に、ブドウの「粒」に注目しましょう。皮にシワがなく、パンと張っているものが新鮮です。
指で軽く触れたときに、弾力を感じるくらいがベスト。
また、同じ品種であれば、粒の大きさが揃っている方が、全体に栄養が行き届いている証拠です。
コツ3:「ブルーム(白い粉)」がしっかり付いている
【体験談】農家さんから聞いた「ブルーム」の秘密
以前、ブドウ農家さんを訪ねた際に面白い話を聞きました。
ブドウの表面についている白い粉、これは「ブルーム」と呼ばれる天然成分です。
汚れや農薬と勘違いされがちですが、実はこれこそが鮮度の証。
ブルームは、雨や病気から実を守り、水分蒸発を防ぐ役割をしています。
ブルームが均一にしっかりと付いているものほど、新鮮で美味しく熟していると教えてもらいました。
スーパーで選ぶ際は、この白い粉が落ちていないものを選ぶのがおすすめです。
参考文献①
ブルーム(果粉)の役割について、農林水産省のウェブサイトでも詳しく解説されています。
検索でよく探されるキーワードを解説します
ここでは、皆さんが「白ブドウとマスカットの違い」と一緒に検索することが多いキーワードについて、ピンポイントで解説していきます。
シャインマスカットは白ぶどうですか?
はい、シャインマスカットは「白ブドウ」の一種であり、かつ「マスカット」の一種でもあります。
色の分類では「白ブドウ」、香りの分類では「マスカット」に属します。
皮ごと食べられて種がない手軽さと、豊かなマスカット香を両立させた、まさにハイブリッドな人気品種です。
マスカットの値段が高いのはなぜですか?
マスカットが高価なのには、主に2つの理由があります。
1つ目は、栽培に非常に手間がかかること。
美しい房の形を保つための剪定や、一粒一粒の品質を高める作業は、ほとんどが手作業です。
2つ目は、希少価値の高さ。特有の香りを持つ品種は限られており、そのブランド価値が価格に反映されています。
白ぶどうの品種にはどんなものがありますか?
マスカット香を持たない白ブドウにも、魅力的な品種がたくさんあります。
例えば、独特の甘い香りが特徴の「ナイアガラ」、日本固有の品種でワインの原料にもなる「甲州(こうしゅう)」、
皮ごと食べられる手軽さで人気の「ロザリオ・ビアンコ」など、個性豊かな品種が揃っています。
参考文献②
様々なブドウの品種については、農林水産省のページで分かりやすく紹介されています。
引用元: 農林水産省「ぶどうの品種」
白ぶどうとマスカットの旬はいつですか?
多くの白ブドウやマスカットの旬は、8月下旬から10月頃です。
ハウス栽培のものもあるため、早い時期から出回りますが、最も味が乗って美味しくなるのはこの時期。
特に9月は、様々な品種が一斉に旬を迎え、食べ比べを楽しむのにも最適な季節と言えるでしょう。
マスカット・オブ・アレキサンドリアとは何ですか?
「果物の女王」とも呼ばれる、非常に歴史の古いマスカットです。
強いマスカット香と、上品な甘み、そして少しの酸味が特徴。
クレオパトラも愛したと言われるほどです。
種があり、皮は少し厚めですが、その気品ある味わいは、今でも多くのファンを魅了し続けています。
白ブドウとマスカットに関するよくある質問(Q&A)
最後に、お客様からよく聞かれた質問をQ&A形式でまとめました。
Q1. 皮ごと食べられるのはマスカットだけですか?
A1. いいえ、そんなことはありません。
マスカットであるシャインマスカットは皮ごと食べられますが、
マスカットではない白ブドウの品種(例:ロザリオ・ビアンコ)にも皮ごと食べられるものはたくさんあります。
品種によりますので、パッケージの表示を確認するのが確実です。
シャインマスカット、ロザリオ・ビアンコなど。アレキサンドリアやナイアガラは皮をむいて食べるのが一般的です。
Q2. デラウェアは何ブドウですか?
A2. デラウェアは皮が赤紫色なので「赤ブドウ」に分類されます。
小粒で種なし、甘みが強いのが特徴ですね。白ブドウやマスカットとはまた違う系統のブドウです。
Q3. ワインに使われるのはどっちのブドウですか?
A3. 白ワインの原料になるのは、主に「白ブドウ」です。
日本の「甲州」や、世界的に有名な「シャルドネ」「ソーヴィニヨン・ブラン」といった品種が使われます。
マスカットもワインに使われることがありますが、その独特な甘い香りが特徴のデザートワインになることが多いです。
参考文献③
ブドウの分類や歴史については、果物に関する研究機関の情報が信頼できます。
【逸話】高級マスカットの箱に隠された秘密
これはベテランの卸売業者さんから聞いた話です。
桐の箱に入ったような高級なマスカットは、房の形が完璧に整えられています。
実は、農家さんは出荷前に、ハサミで一粒ずつ未熟な粒や形が悪い粒を取り除き、理想の形に仕上げるのだそうです。
あの美しさの裏には、信じられないほどの手間と愛情が込められているのですね。
【まとめ】白ブドウとマスカットの違いをマスターしよう!
この記事の要点を最後にまとめます。
- 白ブドウは、皮が緑色のブドウの「色の総称」です。
- マスカットは、白ブドウの中の「品種グループ名」でした。
- 最大の違いは、「マスカット香」という特有の香りがあるかどうか。
- シャインマスカットは、白ブドウであり、かつマスカットでもあります。
- 「白ブドウ」という名前のブドウ品種は存在しません。
- 美味しいブドウは「軸が緑色」で「粒にハリ」があります。
- 表面の白い粉「ブルーム」は、新鮮で美味しい証拠です。
- マスカットが高いのは、栽培の手間と希少価値のためでした。
- マスカット以外の白ブドウにも、ナイアガラなど魅力的な品種があります。
- ブドウの旬は、主に8月下旬から10月頃です。
- 皮ごと食べられるかどうかは、マスカットかどうかではなく品種によります。
- これらの知識を使えば、ブドウ選びがもっと楽しくなります。

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