
- カラシとマスタードの最大の違いは「原料の種」と「酢の有無」です。
- カラシの辛さは鼻にツーンと抜け、マスタードはマイルドな酸味が特徴。
- 和がらしはカラシの一種で、洋がらしはマスタードの別名なんです。
- 料理によって使い分けることで、それぞれの持ち味を最大限に活かせます。
- 粉からしを練るときは、熱湯ではなく「ぬるま湯」を使うのが鉄則でした。
- 代用は可能ですが、風味や辛さが変わるため注意が必要になります。
おでんにはカラシ、ホットドッグにはマスタード。何気なく使うけど違いは何でしょう?
元料理人の私が原料から味、料理がもっと美味しくなる使い分けまで解説。
この記事を読めば、もう迷うことはありません!
驚くほどシンプル!カラシとマスタードの決定的な違い
「カラシ」と「マスタード」、この二つの最も大きな違いは
この2点にあります。とてもシンプルですよね。
日本のカラシは、鼻にツーンと突き抜ける強い辛さが特徴です。
一方、海外から来たマスタードは、お酢が入っているため、酸味があってマイルドな辛さです。
この違いが、それぞれの風味や料理との相性を大きく左右しています。
まずは、この基本の違いを一覧表で見てみましょう。
| 項目 | カラシ(和がらし) | マスタード(洋がらし) |
|---|---|---|
| 主な原料 | オリエンタルマスタードシード | イエローマスタードシードなど |
| 辛さの特徴 | 鼻にツーンと抜ける強い辛さ | マイルドな辛さと酸味 |
| 主な加工 | 水やぬるま湯で練る | 酢、砂糖、香辛料などを加える |
| 色 | 濃い黄色 | 鮮やかな黄色 |
| 相性の良い料理 | おでん、豚まん、シュウマイなど | ホットドッグ、サンドイッチなど |
【私の失敗談①】辛さが消えた!?粉からしの練り方
私がまだ駆け出しの料理人だった頃、急いでカラシを準備しようと、粉からしに熱々のお湯を注いでしまったことがあります。
「早く溶けるだろう」なんて安易に考えていたんですね。
結果、できあがったカラシは全く辛くない、ただの黄色いペーストになってしまいました。
実はカラシの辛味成分は熱に非常に弱く、40℃程度のぬるま湯で練るのが鉄則。
この失敗のおかげで、素材の特性を理解する重要性を学びました。
なぜ味が違うの?カラシとマスタードの原料と製法の秘密
見た目は似ていますが、味が全く違うのには、
原料となる「からし菜の種(マスタードシード)」の種類と、その後の作り方に秘密があります。
「種」が違う!辛さの元となるマスタードシードの種類
カラシやマスタードは、すべてアブラナ科の「からし菜」の種子から作られます。
この種子には、主に3つの種類があり、どれを使うかで風味が大きく変わるのです。
- オリエンタルマスタードシード(和がらしの原料)鼻にツーンとくる、あの強い辛味の正体です。
主に日本のカラシに使われます。水分と混ざることで、強力な辛味成分が生まれるんですよ。 - イエローマスタードシード(マスタードの主な原料)辛味は穏やかでマイルド。
鮮やかな黄色が特徴で、ホットドッグにかけるマスタードの主な原料です。
着色料を使わなくても、この種自体がきれいな黄色をしています。 - ブラウンマスタードシード(粒マスタードの原料)プチプチとした食感が楽しい粒マスタードに使われます。
辛さはオリエンタルとイエローの中間くらいで、香ばしい風味も持ち合わせています。
参考文献①
原料の種の違いについては、スパイスやハーブを専門に扱うエスビー食品株式会社のサイトで詳しく解説されています。
「酢」が違う!味と辛さを決める製法の違い
原料の種だけでなく、作り方も味を決定づける大きな要素です。
和がらしは、基本的にオリエンタルマスタードシードの粉末を水やぬるま湯で溶いただけ。
だからこそ、素材本来の強烈な辛さをダイレクトに感じることができます。
一方、洋がらし(マスタード)は、イエローマスタードシードの粉末に、酢や砂糖、塩、ワイン、香辛料などを加えて作られます。
酢を加えることで、辛さがマイルドになり、保存性も高まるのです。
さらに、酸味や甘みが加わることで、複雑で豊かな味わいが生まれます。
料理のプロが教える!カラシとマスタードの効果的な使い方

それぞれの違いが分かったところで、次は料理での使い分けについて解説します。
適材適所で使うことで、いつもの料理が一段と美味しくなります。
カラシが活きる料理:風味のアクセントと脂っぽさのリセット
ツーンとした辛さのカラシは、料理の味を引き締め、脂っこい料理の後味をさっぱりさせてくれます。
- おでん
大根や練り物など、優しい味わいの具材に刺激的なアクセントを加えます。 - 豚まん・シュウマイ
肉の脂っぽさを和らげ、風味を豊かにしてくれました。 - とんかつ・角煮
ソースやタレに少量混ぜるだけで、味がキリッと引き締まります。
マスタードが活きる料理:肉料理の引き立て役とコク出し
酸味とマイルドな辛さのマスタードは、素材の味を引き立て、料理全体にコクと深みを与えます。
- ホットドッグ・ソーセージ
肉の旨味と脂によく合います。まさに王道の組み合わせですね。 - サンドイッチ
ハムやチーズとの相性は抜群。味のまとめ役になります。 - ステーキ・鶏肉のソテー
肉料理のソースとして使うと、お店のような本格的な味わいになりました。
【私の体験談②】ポテトサラダの隠し味に和がらし
ある日、賄いでポテトサラダを作っていた時、ほんの少しだけマヨネーズに和がらしを混ぜてみたんです。
洋風の料理に和がらし?と同僚は驚いていましたが、これが大成功。
マヨネーズのコクが引き立ち、後味がさっぱりして、いつもより格段に美味しくなりました。
マスタードとは違う、鼻に抜ける爽やかな辛味が、じゃがいもの甘みを引き立ててくれたのです。
固定観念に縛られず、色々試してみる価値はありますよ。
【関連キーワード解説】カラシとマスタードのよくある疑問

ここでは、多くの方が疑問に思うであろう関連キーワードについて、分かりやすくお答えします。
Q1. カラシとマスタードは代用できるの?
A. 限定的なら代用可能です。例えば、ホットドッグにマスタードがなく、カラシしかない場合、少量なら使えます。
しかし、カラシは辛味が強いので、いつもの調子でたっぷり使うと大変なことになります。
逆におでんにマスタードを使うと、酸味が加わり、少し洋風の味わいになります。
風味は変わることを理解した上で試してみましょう。
Q2. 和がらしと洋がらしの違いって何?
A. これは呼び方の違いです。「和がらし」は、これまで説明してきた日本の「カラシ」のことです。
そして「洋がらし」は、海外から来た「マスタード」を指す言葉です。
つまり、「カラシ=和がらし」「マスタード=洋がらし」と覚えておけば、まず間違いありません。
スーパーの香辛料コーナーでも、そのように分類されていることが多いです。
Q3. マスタードの種類が多くて選べない!
A. マスタードにはいくつか代表的な種類があります。
一番ポピュラーなのが、ホットドッグによく使われる「イエローマスタード」。
酸味が効いたマイルドなタイプです。
次に、種のぷちぷち食感が楽しい「粒マスタード」。
ソーセージや肉料理によく合います。
フランス料理で有名なのが「ディジョンマスタード」で、ワインの風味と上品な辛さが特徴です。
料理に合わせて選んでみてください。
参考文献②
マスタードの種類とその特徴については、キユーピー株式会社の公式サイトが参考になります。
Q4. カラシに期待できる効能は?
A. カラシの辛味成分には、食欲を増進させたり、消化を助けたりする働きがあると言われています。
また、血行を促進する効果も期待できるため、体が温まる感じがするのはそのせいです。
ただし、刺激が強いので、胃腸が弱い方は食べ過ぎに注意が必要です。
美味しく健康的に楽しむのが一番ですね。
Q5. プロがおすすめするマスタードは?
A. 私が個人的におすすめするのは、フランスの「マイユ(MAILLE)」というブランドのディジョンマスタードです。
風味がとても豊かで、辛さと酸味のバランスが絶妙です。
鶏肉に塗って焼くだけで、本格的な一皿になります。
また、粒マスタードも同ブランドのものが香ばしくておすすめです。
少し値段は張りますが、試してみる価値は十分にあります。
【私の体験談③】ソースを変えただけで、料理がプロの味に!
レストランで鶏肉のソテーを担当していた時、ソースの味がどうも決まらず悩んでいました。
先輩シェフから「いつものマスタードをディジョンに変えてみろ」とアドバイスされ、
半信半疑で試したところ、ソースの味が劇的に変わったのです。
上品な辛さとワインの風味が加わり、一気に深みと高級感が出ました。
調味料一つでここまで変わるのかと、衝撃を受けた体験です。
よくある質問(Q&A)
ここでは、読者の皆様がさらに抱くかもしれない疑問について、Q&A形式でお答えします。
Q. カラシやマスタードの保存方法はどうすればいいですか?
A. 開封後は、必ずキャップをしっかりと閉めて、冷蔵庫で保存してください。
チューブタイプの場合、空気に触れると風味が落ちやすいです。
特にカラシは辛味が飛びやすいので、早めに使い切ることをおすすめします。
Q. 練りからしが辛すぎます。辛さを抑える方法はありますか?
A. 辛さをマイルドにしたい場合は、少量のお酢やマヨネーズを混ぜると良いでしょう。
酸味が加わることで、ツーンとした刺激が和らぎます。
また、少し時間を置くことでも、辛味は穏やかになります。
Q. マスタードシードから自分でマスタードは作れますか?
A. はい、作れます。
マスタードシードをすり鉢ですり潰し、水、お酢、塩、砂糖などを加えて混ぜ合わせれば、自家製マスタードの完成です。
ハーブやスパイスを加えて、自分だけのオリジナルマスタードを作るのも楽しいですよ。
参考文献③
引用元:東京ガス暮らし情報
まとめ
最後に、この記事の要点をもう一度おさらいしましょう。
- カラシとマスタードの違いは、主に原料の種と酢の有無です。
- カラシはオリエンタルマスタードシードが原料で、水で練ります。
- マスタードはイエローマスタードシードなどが原料で、酢を加えます。
- カラシは鼻に抜ける強い辛さ、マスタードは酸味のあるマイルドな辛さです。
- 和がらしはカラシの別名で、洋がらしはマスタードの別名でした。
- カラシはおでんや豚まんなど、和風や中華料理によく合います。
- マスタードはホットドッグや肉料理など、洋風の料理と相性抜群です。
- 粉からしは熱湯ではなく、40℃くらいのぬるま湯で練ると辛味が出ます。
- 代用も可能ですが、料理の風味が大きく変わる点には注意が必要です。
- マスタードには粒マスタードやディジョンマスタードなど種類が豊富です。
- それぞれの特徴を理解し、料理によって使い分けるのが上級者のコツです。
- 調味料一つで料理の味は大きく変わるため、色々試してみましょう。

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